TOD DOCKSTADER
Dockstaderは1932年,アメリカ・ミネソタ生まれ。大学で心理学と芸術を専攻,後にハリウッドに移り独学で録音エンジニアとなり,1959年にGotham Recording Studios(かの"Switched on Bach"のWalter Carlosもここのエンジニアだった)に職を得ています。そうした出自から,現実音を組み合わせた音楽の創始者Pierre Schaefferに共感していたようです。
作品リストには,1960年から現在までわずか15作品があるのみです。ことに1967年以降,2003年の作品"Aerial"までは1990年の1作のみという長いブランクがあります。これは,正式な音楽教育を受けていないため,60年代後半以降,主だった電子音楽の研究施設に加われなかったためのようです。そのためか,名前が知られるようになったのもごく最近のことです。
そんな経緯を経てついに完成した,2003年の作品"Aerial"ですが,CDの本人の解説によると,Dockstaderは,ラジオには幼少の頃から関心があったらしく,若い頃はアマチュア無線にも手をつけていたようです。
制作の動機として,Dockstaderがごく若かった頃,人々がラジオから大部分の娯楽を得ていて,楽器であるかのように「ラジオを"play"する」と言っていたが,自分はこの作品でしようとしたことはそういうことだ,と述べています。
ただし,音源は短波ラジオながら,「放送ではなく局の合間の音」を集めたとのことです。
素材の準備は1990年から始まっていたといいます。持っていた古い短波ラジオから,受信状態の良い夜間にコツコツとカセットに音を録りためたそうです。カセットを使ったのは,音源がローファイだし,経済的でもあったからだそうです。
それを合計90時間,35のDATカセット,72のオープンリールのライブラリにし,1994年10月にミックスを始めました。さらに,580の2トラックのミックスを作り上げますが,なんと音はいったんアナログに戻され,昔ながらのテープの切り貼りをしていたそうです。
そして2001年,齢70近くになって娘さんに背中を押されてようやくコンピュータを導入,ミックスは90,さらに59のトラックに厳選され,CDのリリースとなりました。
このように,長大な素材を準備し,それを加工,ミックスする作風があって,作品の少なさは,こうしたところにも理由があるのかもしれません。
"Aerial"のCDは,全編が3枚でリリースされています。3枚を納められるようになっている"#1"のケースにはパラボラの写真があり,3枚それぞれのジャケットにも電波をイメージしたような,複数の横に流れる白く細い曲線が,背景色違いでデザインされています。
CD全体は複数のトラックに分けられそれぞれにタイトルがついていますが,全体に有機的なつながりが感じられます。
いずれも,リズムもメロディーも希薄な長く引き延ばされた音が主体で,モトの素材がほとんどわからないほど加工されています。その点で,Tim Heckerの作風に似たところも感じられます。
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Eight Electronic Pieces(1961)
lebel : Folkways Records
Tod Dockstader - Band 2: Piece 8
Quatermass(1966)
lebel : Owl Records
https://itunes.apple.com/us/album/dockstader-quatermass/id386442101
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Luna Park; Traveling Music; Apocalypse(1966)
lebel : Owl Records
http://www.sheyeye.com/?pid=19842554
アメリカ電子音楽黎明期から活動する電子音楽家。活動初期は映画やカートゥーンの音響技師として活躍し、ボインボインとかパフパフとか変てこな音でしか喋れない不自由な子供が主人公の人気カートゥーン『Gerald McBoing Boing』のその効果音なんかを電子音で作ったのもこの人。これは最も初期の作品となる60年~61年の音源を収録した大変貴重な作品。ゲラゲラをめちゃくちゃに加工した爆笑テープ音楽"Luna Park"、電子音楽作品"Traveling Music"、片面全面を使った4部から成るやりたい放題の長大なテープ音楽組曲"Apocalypse"の3曲を収録。
Tod Dockstader & James Reichert / Omniphony 1(1966)
lebel : Owl Records
http://www.sheyeye.com/?pid=34671547
職業作曲家James Reichertの指揮による管楽オーケストラの音源を素材に作り上げた、実験室を派手に飛び出すテープ音楽の名作『Omniphony 1』を収録した67年のレコード。あの手この手の絶みょーなテープ変調と電子音による、過激に実験的なんだけどそれでいてどこか子供じみた無軌道な創作パワーと遊びに満ちた唯一無二の世界。
Drone; Two Fragments From Apocalypse; Water Music(1966)
lebel : Owl Records
Tod Dockstader - Water Music, Part 3
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Recorded Music For Film, Radio & Television: Electronic Vol.1(1979)
lebel : Boosey & Hawkes
エクスペリメンタル・オブスキュア・テクノを引率するMordant Musicが遂にオールドスクール電子音楽にも手を出した!ユーモア&キュートなアイデア電子音楽家・巨匠TODD DOCKSTADERの激レア・ライブラリー音源の世界初アナログ盤リイシューです。(電子音楽通信2012.10.12)
予想はついていたのですが、Shackletonのデビュー作、噂の電子音楽&テープ音楽&ダブ狂Ekoplekzをリリースした事でも知られるオブスキュア・ダンスミュージック・レーベルMordant Musicが、彼等が愛してやまない、遂にホンナマなオールドスクール電子音楽名品のリイシューです。1960年代より活躍する現役バリバリ電子音楽家トッド・デクステイダーの元祖テクノとも呼ぶべき1979年の映画、ラジオ、TV用のキラーな激レア・ライブラリー音源のアブストラクトな電子音楽作品・全23曲の小品集が遂にアナログ盤リイシュー。重量盤アナログで音質もばっちり。グレイト!!!アイデアの宝庫。現在までまったく色褪せない輝きに満ちている。同時発売で、彼のライブラリー音源を使用しMordant MusicとEkoplekzがリミックス解体再構築した10インチ・アナログ盤もあります。こちらもお見逃しなく。 (コンピューマ)
試聴
http://de.juno.co.uk/products/electronic-vol-1-recorded-music-for-film-radio-television/468975-01/
http://www.newtone-records.com/index2.php?id=n_t0056897
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Recorded Music For Film, Radio & Television: Electronic Vol.2(1981)
lebel : Boosey & Hawkes
TOD DOCKSTADERの電子音楽ライブラリー音源VOl.2もVol.1に続き、エクスペリメンタル・オブスキュア・テクノを引率するMORDANT MUSICより奇跡のアナログ・リイシュー到着。(電子音楽通信2013.01.25)
オールドスクール電子音楽にも手を出したMordant Musicが、Vol.1に続き、1960年代より活躍するユーモア&キュートなアイデア電子音楽家・巨匠TODD DOCKSTADERの映画、ドラマ、ラジオ、TV用のキラーな激レア・ライブラリー音源のアブストラクトな電子音楽作品の世界初アナログ盤リイシュー。全23曲の小品集。現在までまったく色褪せない輝きに満ちている。アイデアの宝庫。 (コンピューマ)
試聴
http://www.newtone-records.com/index2.php?id=n_t0058839
Tod Dockstader & David Lee Myers / Pond(2004)
lebel : ReR Megacorp
Tod Dockstader & David Lee Myers - Assembly
試聴(itunes)
https://itunes.apple.com/jp/album/pond-digital-only/id100941295
Tod Dockstader & David Lee Myers / Bijou(2005)
lebel : ReR Megacorp
試聴
http://www.amazon.com/Bijou-Tod-Dockstader/dp/B000BJ63A6
https://itunes.apple.com/jp/album/bijou/id81972995
Aerial #1(2005)
lebel : Sub Rosa
Tod Dockstader - Song
Tod Dockstader - Raga
Tod Dockstader - Aw
Tod Dockstader - Swell
Tod Dockstader - Pulse
Tod Dockstader - Myst
Tod Dockstader - Second Song
試聴
http://www.discogs.com/Tod-Dockstader-Aerial-1/release/491881
Aerial #2(2005)
lebel : Sub Rosa
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 1) "Approach" to "Babbel"
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 2) "Yaya" to "Clocking"
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 3) "Wail" to "Feeder"
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 4) "Spindrift" to "Low Roller"
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 5) "Still" to "Piccolo"
Tod Dockstader: Aerial #2 (Part 6) "Wire" to "Aah"
Aerial #3(2005)
lebel : Sub Rosa
Tod Dockstader: Aerial #3 (Part 1) - "Mutter" to "Voicetrain"
Tod Dockstader: Aerial #3 (Part 2) - "Howl" to "Jam"
Tod Dockstader: Aerial #3 (Part 3) - "Bounce" to "Harmonic"
Tod Dockstader: Aerial #3 (Part 4) - "Din" to "Steam"
Tod Dockstader: Aerial #3 (Part 5) - "Wait" to "Finale"
Bellstomp/Pond Dance (reMMix By Mordant Music) / Boingo Background (Replekz By Ekoplekz)(2012)
lebel : Mordant Music
reMMix by Mordant Music & replekz by Ekoplekz !!! エクスペリメンタル・オブスキュア・テクノを引率するMordant Musicが遂にオールドスクール電子音楽にも手を出した!彼のライブラリー音源のまさかのリミックス10インチが登場!!!(電子音楽通信2012.10.12)
予想はついていたのですが、Shackletonのデビュー作、噂の電子音楽&テープ音楽&ダブ狂Ekoplekzをリリースした事でも知られるオブスキュア・ダンスミュージック・レーベルMordant Musicが、、彼等が愛してやまない、遂にホンナマなオールドスクール電子音楽名品のリイシューに続き、同時に彼のライブラリー音源(1979/1981年)を使用したリミックス10インチ・アナログ盤をリリース。しかも現在のレーベルの偏りの勢いを象徴するMordant MusicとEkoplekzがそれぞれの個性で解体再構築。キラー。 (コンピューマ)
http://www.newtone-records.com/index2.php?id=n_t0056898
Tod Dockstader - Bellstomp/Pond Dance (reMMix by Mordant Music)
Tod Dockstader - Boingo Background (Replekz By Ekoplekz)